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Connecting The Dots

Posted: 2019.01.29 Category: ブログ

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店主です。

先日夜遅くにジャズピアニストの古田大地さんが"ふらり"と(あれほど"ふらり"という言葉が似合う方を私は他に知りません)お店にみえました。

いつものように、いくつかの話しをしたあと、グレン・グールドのピアノについての話しをしました。私がロックミュージックに異常な傾倒をしていた頃、クラシックミュージックと呼んでいいのか、なぜかグールドのゴールドベルク変奏曲だけは聴いていたような話しをしました。(グールドの弾くゴールドベルク変奏曲のピアノは「音が見える」ので、私は「音像」という言葉は、ピアノという楽器を通じてはじめて理解したようなものでした。)

郷里を離れる前の地方都市にいた何者でもない若者が、クラシックミュージックに対し造詣のぞの字も無いのが当たり前の年齢の子供が、あの難解なゴールドベルク変奏曲に自然に出会っていた事がすでにグールドのすごさの一端をあらわしているのではないですか???

私は、そう言いそびれました。

あの頃、漱石を読んでいた頃でした。いまだに『草枕』を読みますが、あれから随分とたってカナダの孤高のピアニストがもっとも愛した書籍が日本の著名な作家のまったく同じ作品だった事を知ると、私は不思議な共通点を見出して、なんとも言えない気持ちになった事を覚えています。

先日桜ヶ丘だよりに寄稿した際、私は15歳から15年の月日が経つまでほとんど何も生きられる人生がなかったというようなお話しをしました。15年というのは、長い年月でしょうか。おそらくきっとそうなのでしょう。しかしいま振り返ってみると、その途方もないように思える年月を結ぶときに、点となるものはたった3つだけであらわされるようにも思えるのです。それは夏目漱石という作家の書いた小説、そしてそれを愛読した不世出のピアニストのバッハの演奏と、その音楽家を深く愛した珈琲屋の店主のブレンドコーヒーです。

草枕と、ゴールドベルク変奏曲と、バッハブレンド。

私の15年間は、たった3つのドットでコネクトされているように見えるから不思議なものです。

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