今回生産国で気になったことは、パーチメントによるコーヒーの品質管理の実態です。生豆や焙煎豆に慣れたわれわれからすると、パーチメントの香りや水分量で品質を管理するという感覚は、いまひとつよくわかりません。
パーチメントに複雑な香りがある。。しかし慣れてくると、確かにパーチメントにあるデリケートな香りで、品質の良し悪しがなんとなくわかるようになってきます。
私が見た出国前のパーチメントは、フリーウォッシュドですら果肉やミューシレージが残っていることがありました。パルピング後の状態では、発酵槽をバウンドせずに簡単に水洗されることもありました。もちろんミューシレージもたっぷり。
この場合、フリーウォッシュドの明確な区分は曖昧になります。果肉片も、手動のパルパーでは、まわす速度でも取れ方は大きく変化します。このあたりは、本で読んでいてもわからないようなことです。
たとえばこのような状態をたんに水洗式精製の質に結びつける議論は、生産者の現実性を欠いたものと思えます。電動式のパルパーや、水量の制約のない農家の話だけをすると、全体性が見えてきません。
こうした生産国事情、小規模農家事情を、抽象的にでも現場でよく理解しておくことが大切ではないかと思います。とくに世界各国の生豆が簡単に手に入り、代わりにグリーンビーンズのあらゆる商品価値付けも存在しうる我々のような国においては、そのしゅの留意は必要ではないでしょうか。
すんなり帰国と行きたかったのですが、ちょうどクスコで大規模ストライキが起こり、街の情勢が深刻に悪化、一瞬帰国も危ぶまれました。これまた消費国では、ほとんどありえないような出来事です。情報収集に努め、ハラハラしながらもなんとか帰ってこれました。
長い旅でしたが、色々と勉強になりました。
(スペイン語だけもう少し勉強しておけば良かったですが)。