「アダチさんのところはエルメスを研究した方がいい」。
と、コーヒー業界で(ある角度から見て)もっとも怖い人から言われた事を覚えています。まだ私が社長になる前なので、どれくらい前の事だったでしょうか。
その言葉が最近自分の中で大きくなってきました。
意味が落ちてくるまで数年かかりました。
エルメスは確かに不思議なブランドです。リシュモンやLVMHのような高度組織化のブランディングビジネスとはまったく違うタクティクス、恐ろしいほど徹底した内輪経営、ライセンスビジネスの全否定、手仕事と生産性のバランス。。
私が好きなのは、あの「オレンジの箱と茶色の紐」が、ブランドにまったくお金が無かった時代に資材屋で売れ残った人気のない色味の箱と紐を大量割引で買うしかなかった結果だというエピソードです。
それは現代に生きる人々にまで、「価値」とは何たるかを示しているかのようです。