店主です。久しぶりに海外のコーヒー農園に渡航しました。1700の島があるインドネシア。人口389万人、高知県よりやや大いくらいの島に、小さなコーヒー農園がたくさん存在するバリ島。商売をする人が急速に集まってきており、ジャワを超えすっかりインドネシア最大の観光島です。今回は「ゴッドマウンテン」などとも呼ばれる、バリ島でのアラビカ品種の現地農園視察と購買目的で来ました。
空港に降り立ち最初に思ったのが、欧米・アジア共に観光客のとても多い事。こんな風に、リゾート感がすごいです。
しかし、ひとたびくたびれたバスで街を走ると、隣接する貧富の差に驚かされます。
ハイアットなどの5星ホテルから1分も走ると、トイレの設備も怪しいようなスラムの街の様相。
バリのコーヒー栽培の歴史は古く、文献学的に精緻な遡行はほとんど困難。かといって有名なスマトラやスラウェシのように日本の商社が農園地に早々入って行ったわけでもなく、当国向けの商用商品として急速に精製や輸出体制が整備されて来たのはここ1990年代もずいぶん過ぎてから。
島内生産量は1700トンほど、うちアラビカ種は600トンほどで、そのうち90パーセント以上が日本への輸出です。面白いのが、残りの10パーセント弱がアメリカへの輸出で、近年消費国として急成長を見せているアジア圏への持ち出しに関してはほとんど無いそうです。個人的には、この事実が一番面白かったです。
アラビカ栽培の標高は1200m〜1300mほどで、安定しています。ロブスタは700m程度の標高で収穫されます。インドネシアといえば「コピ・ルアク」。現地のルアクコーヒーについて、面白い点がありました。まずひとつ目。現地の人々はルアクコーヒーはほとんど飲まないそうです。富裕層ですら、目を向けないようです。現地の人にあの手この手で色々と質問(英語で)しても、ただ「飲まない」としか言われないくらい。※写真は豆購入のための試飲ブース。
価格は欧米向けに1杯50$で設定して生豆の値段をつけているそうですが、見渡す限りどこにもカップ売りをしているお店はありません。探したけど、ほんとうに無いのです。そしてふたつ目が、ロブスタのコピ・ルアク。いたるところに豆売りで存在していました。
山岳地帯をうねる道を抜け、今回のメインの収穫地区はキンタマーニ地区タンバカンという場所へ。農園名は基本的にはどこにも見当たりません。それくらい小規模農家たちが軒を連ねるバリアラビカ。なぜ、農園名が無いのでしょうか? 端的に言えば、商品として安定した需要に対して、ネーミングで答える事ができない為といえます。それくらい、ひとつひとつの農園が小さい(小作農)のです。アラビカ種に限れば、島内にて広い広いと言われている農園でも、3ヘクタールくらい。
そしてコーヒーノキの高さが、1mちょっとしかありません。どれも上をぐにゃっと折り曲げたり、徹底的にカットバックされたり。
6月が収穫期(ロブは8月)、2週間に一回の収穫をしていました。アラビカの品種はコブラ、B1と呼ばれるもで、おそらくティピカの血統であるとの事ですが、国外に出ると呼び方が変わる程度の呼称だとか。
シェードツリーはバナナとみかんです。