久しぶりの本のご紹介です。
『ALL ABOUT COFFEE』
ウィリアム・H・ユーカーズ(山内秀文氏・訳)
信じられない金額を出して初版本(日本語版)を買っていた友人達には申し訳ないですが、たった千円程度で世界のコーヒー本の基礎となるような本を山内氏の翻訳で読めるようになった2017年という年は、1日過ぎて思いますが、あらためて素敵な年だったと思います。
現代のコーヒーの基礎研究ならびに。。などというありふれた文言はすべてほかの人に任せるとして、個人的な事を言いますと、愛読している書物のほとんどのルーツを見る事ができ、驚嘆です。単純にエチオピアという語を置くのではなく、アビシニアの歴史からコーヒーのルーツに探りを入れ、採掘した事実を決定不能に追い込む手法は導入部からとてつもない可能性を読者に示しており、昨今の記述的な精緻さに傾きがちなコーヒー本とは完全に一線を画している、古くて新しい本です。いまどき流行らないアプローチですが、むしろ余白から何を読み、かつ何を想像(創造)していくかが、コーヒーに携わる人々に厳しく問われているような気がします。
年始にしばらく読んで3日からの営業に備えようと思います。