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ソロメオの夢

Posted: 2021.05.23 Category: ブログ

ソロメオの夢イメージ1

店主です。


せんだって、ブルネロ・クチネリ氏の回想録を読む機会がありました。これまで幾人か経営者を取り上げ、何事かを書いてきたことがありましたが、クチネリ氏を「経営者」として取り上げるのは、もしかしたら不当な設定かもしれません。しかしわたしにとってクチネリ氏は、じつはとても縁のある人で、いまから10年ほど前だったと確か記憶していますが、彼の発言が某紙に取り上げられていたことがありました。


現在のような(本人が望もうと望まないと)神話性のあるような取り上げられ方ではなかったと思います。ただ、最高級のプレタポルテという冠とともに、彼のいくつかのコレクションと、効率とはいっさい無縁の、哲学者のような発言が紙面を埋めていました。(注釈もありませんでしたが、マルクス・アウレリウスの『自省録』からの引用を覚えています。経営の話をするとき、こんな本を引く人がいるのだと刮目した記憶があります)。


その中で、彼は面白いことを言っていたのです。細部までの再現性はともかく、こういう内容でした。「人生を死ぬまでの在庫目録の積み上げのように生きる人がいる。金銭も、経験も、知見も。そんなものは真っ当な渡り方ではない。いまをどう生きているか、この瞬間からどう生きたか。たえずそれを問い、いまこの瞬間を、この瞬間から生きなさい」と。


わたしはそのあとすぐに仕事をやめていますが、もしかしたらクチネリ氏の発言が少しは影響していたのかもしれません。


あれからおよそ10年がたちました。わたしは近年「カフェをはじめてみませんか?」という、あらけない題目の挙行に(一部)携わっていますが、場面場面で思い出すのがクチネリ氏的なものの考え方です。


『あなたの具体的な夢や願いを制限することは正しくありません。誰かが、その計画は無謀だ、もっと堅実に段階を踏んで実行すべきだ、あるいは、それを実行するのは今ではない、と言うのであれば、そんな人々に耳を傾けないようにしてください。彼らはあなたが飛び立つことを妨げようとしているのです』ブルネロ・クチネリ『人間主義的経営』)


昨今出版された回想録においても、それは変わっていません。わたしは彼が、自身のことを「保護者」だというのに照らし合わせて、この言葉の意味を信頼したいのです。

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