店主です。
VIVO誌上でコーヒーについて執筆をしていますが、同時連載陣の中に、オリエンタルランド前社長の福島さんがみえます。
あれほどひとつの意味をもった事業体を現実に運営された方と、同じ誌面で何か書けるのは畏怖するような出来事です。そして奇しくもそれを知った頃私が夢中になって読んでいたのが、ウォルト・ディズニーの『創造と冒険の生涯』でした。
『創造と冒険の生涯』にはウォルト・ディズニーという人物が、地方都市に住む才能の芽が出ない「二流・三流の漫画家」で終わることなしに、なぜあれほどの創造物をなしえたかについて、いくつかのヒントが書かれています。才能の芽が出ない落伍者というのは世にあふれていると思いますが、その予備軍だった彼のあまりに鮮やかな身の代わり方と、それを可能にしたエネルギーのような何かについて----しっかりとここに書かれています。その何かをひとことでいえば「経営」という事になると思いますが、その意味でこの本はとてつもなく、ただひたすらに「経営」について書かれた本でもあるのです。
物語の途中、ある人からウォルトは揶揄を受けます。それはほとんど馬鹿にするような非難だったのですが、彼はそれを思い切り肯定します。それどころか、笑い出します。私はあの揶揄に、「経営」というものの本質を見ます。(蜂の例え話の箇所です)。
ただしそのことに気づいたのはずっと後からでした。