先日ふとある場所で、チーズバーガーを食べました。
なぜ普段よく口にするわけでもないものを見つけて、衝動的な気持ちで食べたのか、そのことはまったくわからなかったのですが、チーズバーガーの事を考える時そういえば自分はボブ・グリーンの事を思い出すのです。自身の15歳の頃の事を去年、ある場所に寄稿する機会があったのですが、当時の恩師(それも相当な本好きな方)が人生の一冊に挙げていたのが、この本、ボブ・グリーンの『チーズバーガーズ』でした。
本当に久しぶりに読み返してみて、驚いた事があります。
それは、この本は著者のある時間的な長さを持った期間のいくつかのエッセイなのですが、その年齢がほとんど36歳のときのものだという事です。
36歳。いまの自分の年齢です。そればかりでなく、眉間に皺を寄せるような出来事をかき集めて一気に身をズラすような、この本に貫かれる思考のあり方は、いまの自分にとっては痛いほど共感できるひとつの心象風景です。
それはそれとして、どういうわけでこれほど多岐に渡る内容の随想を集めた本のタイトルが「チーズバーガー」なのでしょうか。あの頃少しもわからなかった著者の「自分の一番好きな食べ物の名前だから」という意味の削ぎ落とされたような理由が、同じ年齢になった自分には何よりも真っ当に思えるから不思議なものです。