久しぶりに店主です。
私が大学時代---在籍期間はともかく過ごした時間を思えばそんな時期が存在したかどうかは謎ですが---もっとも読んだのは、マルクスとデリダでした。
最近なぜだかまたデリダを読みたくなり、彼の作品、かつて読んだものとは違う訳者のバージョンのひとつを読んでいました。
『主体とは何かを自分に語りかけ、自分に伝達していると思っているが、実はそんなことはまったくない。主体が自分自身に何も指示しないのは、そうすることができないからであり、そうする必要がないという理由でそうすることができないからである。自己への現前性の現在は、「瞬き」と同様に分割不可能なものなのである』(ジャック・デリダ)
あのころ私はマルクスを読んで、商品に内在的な価値など存在しないということ、そしてデリダを読んで、不可分なものを切り離す事の不味さに触れたような気がしました。
そして、自分が自分自身の考えを正しく理解する日など永久に訪れないということを、なんとなく理解したような気がしました。
おそらくそのことは現在に至るまで、あらゆる形で私の人生に関わっていると思います。