カフェ・アダチ

 

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記憶

Posted: 2020.09.07 Category: ブログ Comment: (0)

記憶イメージ1

店主です。


先日少しまとまった時間があったので、ジャン=リュック・ゴダールの新作映画『イメージの本』を観ました。ゴダールに対して「新作」という言葉がどれほどおさまりが良いものか、わたしにはよくわかりません。ゴダールの「新作」としてわたしが最後に意識したのは、2004年のアワー・ミュージック(東京で公開されたときのタイトル表記が、最初はノートル・ミュージックだったので、わたしはそちらで覚えています。フランス語では、もちろんノートル・ミュジーク Notre musique です)、それ以来だったと思います。たしか、そうだったと思います。ノートル・ミュージックのことをどうしてそこまで覚えているかというと、公開されたのがジャック・デリダが死んでから6日後のことだったからです。このことは、とてもはっきりとよく覚えています。


わたしがジャック・デリダの死を知ったのは、彼の死から3日後、ゴダールの『ノートル・ミュージック』が公開されるちょうど3日前でした。ジャック・デリダが死んだとき、(デリダの死を知ったとき)、わたしは雨の中にいました。東京では2日間に渡り、しっかりと雨が降り続いていました。それを聞くのにはまったく不似合いな貧しい深夜のコンビニの外で、年長の畏友から、おそろしいほど無邪気にデリダの死を伝えられたのです。夜の小売店から外に出たばかりだったわたしは、あまりにびっくりしたので、しばらく雨に濡れてしまいました。下げていたショッピングバッグに、雨水がたまったほどです。安アパートに帰ると、袋の中のまるごとバナナと、ポカリスエットが濡れていました。今でも、鮮やかに覚えています。


わたしはもう間もなくして東京から去らなければならない自分の人生と、それからのことを考えていました。それは、希望について考えていたのと何の変わりもないことでした。そんなとき、かつて記憶にないくらいの雨が降りました。デリダは死に、ゴダールは(もう撮らないとさえ思われた)映画を撮りました。


『たとえ何ひとつ望み通りにならなくても、我々の希望は変わらない。希望は夢であり続け、必要なものだ。異論と抵抗の欲求が減ることはない。過去が不変であり、希望が不変であるのと同じだ。そして、我々が若い頃、熱い希望を抱かせた人々も。たとえ何ひとつ望み通りにならなくても、希望は生き続ける』(『イメージの本』ゴダール)


そしてまたゴダールは映画を撮っています。


わたしもまた、希望について考えています。

「何ひとつ望み通りにならなくても、希望は生き続ける」。わたしはいまもあのころと同じように、ずっと希望について考えています。


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